恋愛なんてしない
婚約破棄の件もあるし、光希に会いそうな場所はできれば今は行きたくないけど...。
「忘れてたけど...。出席出しちゃったし行くよ。」
「よかった。瑞希いかないならもれなく私も行かない。」
そう言いながら香奈は笑っている。
19時集合かあ、と若干憂鬱になりながら午後の業務にも取り組む。
先輩は参加するのかな。
うだうだとしていても、時間は過ぎていくもので。
あっという間に終業時刻になってしまった。
会場までは香奈と一緒に移動をする。
話ながら歩いていると目の前に見覚えのある人影。
―――光希だ。
光希は後輩の女の子と楽しそうに話している様子だった。
「なにあれ。ほんと、何考えてるんだろうね。」
香奈は私の心の中を代弁してくれるかのように呟いた。