恋愛なんてしない
「こんなのジャケット脱げばいいだけだし気にすんな。」
優しい顔をしながら頭をポンポンと撫でられる。
「今日はもう帰ったら?家まで送る?」
先輩はそう聞いてくれたけど、荷物もすべて席に置いたまま。
ということは、荷物を取りに行かなければならない。
この顔を光希や彼女には見られたくない。
「荷物なら俺取ってくるけど...。」
私の心の中を察してかそう言ってくれる先輩。
「ここで帰ったって思われるのが嫌です...。」
何故かよく分からないプライドが邪魔をする。
先輩は私の頭を撫でながら
「じゃあ俺の席来る?むさくるしい男ばっかだけど。」
笑いながらそう言ってくれた。
そっちの席にいた方が気がまぎれるかなと思い、静かに首を縦に振る。
「そうだ。仲いい友達も呼んだら?一人気まずいでしょ?」