恋愛なんてしない

結婚して家族がいる人もいれば、独身の人、彼女がいる人など様々で、色々な話を聞けたけれどどれも嫌な感じはしなかった。


2次会も楽しい時間で終わり、それぞれが家路に着く。

他部署の部長と香奈は住んでいるところが数件隣りとのことで、一緒にタクシーに乗って帰って行った。

他の人は方向がほとんどバラバラで、私はなぜか、先輩と一緒にタクシーに乗ることに。


タクシーの中でも普通に話していたが、突然

「ごめん、こんなこと今言うのも変だけどさ。大丈夫?」

「はい、気にしないでください。みなさんのおかげで楽しく過ごせたので。」

お世辞なく、本当に思ったことを伝えたつもりだった。


「でも、悲しそうな顔してる。」

先輩は私の目をじっと見つめながら話す。

「え。そんなことないです。」

そう返してみるけれど

「1人で泣かないでね。心配。」

「大丈夫ですよ。子どもじゃないんですから。」


そう言ってみたけれど、本当は光希と彼女の会話が頭の中をぐるぐると回ってしまっているのも事実。
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