恋愛なんてしない

「いやでも、これ何日かは住めないだろ?」

「まぁ、でもとりあえずホテル取って、工事も早く終わらないか聞いてみます。」

言いながらアプリでホテルを探しているが、驚くほどにホテルが空いていない。


何故だろうと思ったが、どうやら有名なアーティストが海外から来て公演をしているらしく近場のホテルはすべて埋まっている様子だった。


「俺んち来る?」

困った顔をしていたのか、先輩が気にかけてくれている。

「そんなに迷惑はかけられないので大丈夫です。」

「あ、ごめん言葉足らずで。俺来週から出張で居ないから。その間だったら自由に家使っていいよ。」


先輩との共同生活になるのが嫌だと思ったのか、先輩が付け加えて話す。

「むしろその間に少し前に頼んだ宅配来るから、それ受け取ってもらえると嬉しい。」

「本当にいいんですか?」

「うん、ホテル取る手間も省けるし。困った時はお互い様。まあ今日は俺いるけど。」

先輩がそう言ってくれたので、申し訳ないがその提案に乗ることにした。


必要な荷物をまとめて、タクシーで先輩の家に向かう。

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