恋愛なんてしない

「確かに妹感あって可愛いなとは思うけど、好意だよ。」

先輩はサラッという。

「でも、私...。」

思ってもみなかった発言に言葉を詰まらせていると

「わかってるよ。だから付き合ってとか言わないから。好きな人が悲しそうな顔するのは見たくない。利用するくらいの気持ちでいればいいよ。」


私に近づいて、頭をポンと撫でる先輩。

でも本当は、私も先輩が気になる気持ちが抑えきれないでいた。


婚約破棄したばかりなのにと思っていたのに、私の心が揺れている。

もう恋なんてしたくないって思っていたはずなのに、こんなに早く先輩が気になる私はおかしいのだろうか。


どうしたらいいのか分からないまま、私はただ顔を赤くしながら俯くしかなかった。


――――――――――――――

次の日、先輩は前乗りするとのことで、出張先の福岡へ朝早く向かっていった。

家の中のものは好きに使っていいと言われたけれど、本当にオシャレな家。


インテリアもそうだけど、小物が特にオシャレ。どこで買っているんだろう。

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