一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
聞こえてきたのは明るい葉ちゃんの声。

ホッ…よかった。

これで帰れる…

「葉ちゃん!ごめんね!道に迷っちゃって…」

「こんな一本道で迷うとか、愛ちゃんどんだけ方向音痴…」

「あれ?園田?お前、桜丘中の園田葉じゃね?」

えっ!?

二人は知り合いなの?

中学の時の試合した相手って葉ちゃんたちの中学校だったの?

「…高野君…」

あれ?

なんか変。

だっていつもなら誰にでも明るく接するフレンドリーな葉ちゃん。

それなのに、今は顔が暗い。

「久しぶりー!春日台行ったんだ!頭良かったんだね!意外!」

…この人、少し失礼じゃない?

「つうか相変わらずちっこいな!顔も女みたいなのも変わってねえし!まだバスケしてんの?」

な、何だと!

葉ちゃんは確かに女の子みたいに可愛いけど、本人はそれがコンプレックスだって言ってた。

いつもならそういうことをクラスの誰かに言われても、笑って反抗するか、ムキになるかの二択なのに、葉ちゃんは俯いてしまった。
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