一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
いつもの葉ちゃんじゃないみたい。

「もしかして葉の彼女?嘘だろ、お前!…お前あいつと付き合ってんだってすげえ噂だったぜ。俺らの部活内でさ!ほら、なんだっけ。あの暴力野郎!」

ねえ、葉ちゃん。

どうしちゃったの?

この人、すっごく嫌な感じだ。

なんだかイライラしてきた。

「あっ、思い出した!久住!久住優大!あいつバカだよなー、県体の決勝前に暴力沙汰起こして出場禁止とか!」

そっか、今わかった。

この人が、中学時代の葉ちゃんにずっと嫌がらせをしていたっていう他校のバスケ部の人。

「行こう、葉ちゃん!」

もうここにいる意味なんてない。

あたしは葉ちゃんのジャージの裾を引っ張った。

「また逃げんの?女々しいな、相変わらず!そうやっていつまでも誰かに守ってもらってんだ。しかも女の子に!」

むかつく!

「ちょっとあんた…」

「いいから、行こう、愛ちゃん。」
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