一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

「えっと、実はね…」

全部話した。

浅丘君は何も言わずにあたしの話を聞いていた。

「…そっか…あいつら、須崎学園に行ったんだ…」

浅丘君はぎゅっと自分の拳を握りしめた。

きっと中学の時のことを考えているのかな。

「でも葉ちゃん、みんなには言わないでって言ってて…」

「一ノ瀬はさ、俺達の中学の時の話、帆華や優大から聞いてるよな。」

「うん。だいたいは…」

他校の生徒から嫌がらせを受けていた葉ちゃんのことを見るに見かねて、久住君が試合前に喧嘩しちゃったんだよね。

それで浅丘君と久住君がギクシャクしてしまって、そのままになってた。

「葉ってさ、いつもバカみたいに明るいじゃん。でも本当はすげえ傷つきやすいと思うんだ。」

そう、なの。

長年の親友である浅丘君が言うと説得力がある。

「ヘラヘラ笑って、お調子者ぶってるけど、前に一回、確か小学生の時にチビとか女の子みたいってからかわれすぎてすこし不登校気味になってたことがあるんだ。」