一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
不登校…

あの葉ちゃんが？

学校ではいつも友達の輪の中にいて、楽しそうに笑ってる葉ちゃん。

だけどコンプレックスなんて本人にしかわからない悩みだ。

あたしも小さいし、よく幼く見られて嫌だなって思うことはあるから。

玲も前に可愛いとか美人とかふざけて言われるのが不愉快だって言ってた。

遊びやからかいで言ってる言葉が本人にとっては辛い言葉になってるのかもしれない。

あたしも何回か葉ちゃんのこと、可愛いって思っちゃったことがあるからなんだか少し罪悪感。

「俺、また葉に何にもしてやれないのかな…」

浅丘君が悲しそうな顔でため息をついた。

そんな顔、見たくない。

「そんな、そんなことない！」

「一ノ瀬？」

あたしは思わず立ち止まって大きな声を出していた。

「葉ちゃんは、きっと…浅丘君がいてくれるだけで…」

うまく言えない。

だってあたし、何も知らない。

それなのに、なんだか泣きそうで。
< 121 / 309 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop