一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
こんな時、なんて言えばいい?

好きな人が落ち込んでいるとき、なんて言えばいいの?

あたしは何度も浅丘君の言葉に救われた。

貰ってばかりじゃ申し訳ない。

「なんで一ノ瀬が泣くの?」

そっと頭に優しい感覚。

「…っ…だって、あたしも葉ちゃんは大切な友達だから。葉ちゃんが辛いまま我慢してるの、見たくない。」

明るい葉ちゃんに、何度も助けられたよ。

大切な仲間だもん。

「…俺も。」

浅丘君はなにか決意したような表情で上を向いた。

「俺達ができることは、一つしかない。」

そう力強く言った横顔が、すごく頼もしく見えた。
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