一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
complex:13
家に帰るとなにやらりっちゃんがソワソワしていた。

どうしたんだろう。

本日のMVP、真兄はまだ帰ってきてないみたい。

「なにかあったの?」

「うん、なんか…」

玲の言葉が帰ってきた主の声によってかき消された。

「たっだいまー!あー、疲れた!今日の飯何?つうかなんで家族勢揃いできてんの?すっげえ恥ずかしかった…」

リビングに入ってきた真兄に向かって、りっちゃんが1枚の紙を突き付けた。

「真、お前大学に行かずに就職するってどういうことだ?」

えっ?

就職する?

そんなこと初めて聞いた。

だってうちの高校からはほぼ全員が大学に進学するから。

当たり前のように真兄もその一人だと思っていた。

「試合が終わるまで黙ってようと思ってた…この前の二者懇談で担任の先生から聞いた。そんなこと、今まで俺に一度も言ったことなかったよな?」

りっちゃんが真兄に詰め寄る。
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