一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
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ミーンミーンミーン

なんだかセミの鳴き声が大きく聞こえる。

これぞ、ザ、夏!って感じ。

そして日差しもギラギラしてる。

「あ、暑い…」

新幹線で片道二時間、夏休みも中盤のお盆の時期、あたしと玲はある田舎の駅に降り立った。

「昼間だってのに人が少ない…しかももう蚊に噛まれた…」

心底嫌そうに顔をしかめる玲さん。

「えっと、小夜おばあちゃんの家はたしかこっちだよね?」

「ここからすぐでしょ。あんな簡単な道もわかんないの?馬鹿なの?」

えーえー、どうせあたしは馬鹿でございますよ!

でも玲の言うとおり、おばあちゃんの家は駅から歩いて三分。

一人暮らしには少し大きい民家。

久しぶりに来たな。

ピンポン

チャイムを鳴らすとドタドタと誰かが出てきた。

おばあちゃんはギックリ腰だから、走れるはずもない。

顔をのぞかせたのは、日焼けをした男の人。

だれ!?

「もしかして小夜ばあの孫?」
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