一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
へえ…

楽しそう!

あっ、でもあたし、泳げないんだった。

昔からどうも水泳とは相性が悪いっていうか、カナヅチなんだよね。

うちで一番水泳が得意なのは意外にも玲。

本人は嫌がっていたけど、小学校の時記録会の代表選手にも選ばれるくらいだったんだから。

今ではすっかり色白のそんな面影全くなしな無気力少年になっちゃったけど。

「なあ、愛。」

「ん?」

「俺たちさ、一回あったことあるん、しっとった?」

えっ!?

そうなの!?

「やっぱり覚えないよなー、まだ小さかったしな!」

「ご、ごめんなさい…」

小さい頃おばあちゃん家にきた記憶はなんとなくはあるんだけど海司君のことは覚えてない…

「俺、愛に会いたかったんよ、ずっと。」

へ?

あたしに?

「どんなになっとんじゃろうなってずっと考えとった。で、今年の夏休みに愛が遊びに来るって小夜ばあちゃんから聞いて、絶対に会いたいって思っとった。」
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