一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

そんなに思ってくれてたのに忘れてたあたしってすごく失礼？

「なんか、本当にごめん…」

「いや、ええんよ。今愛に会えて、一緒に海に来とるんじゃけえ。」

海司君がニカっと笑う。

「花火大会、一緒に行こうな！」

「うん！」


そのあと海で遊んで、帰ったのは夕方。

「おかえり！愛、帰って早々悪いんじゃけど、ご飯手伝うて。」

「はーい！」

今日のご飯はお刺身。

さっきの帰りに漁師の人がくれたんだ。

小夜ばあちゃん、さすが。

魚も捌けるんだね。

「愛、ん。」

ご飯のあと、玲が机の上に置いたもの。

それはあたしのスマホ。

「鳴ってた。」

そういえば今日、触るの初めてかも。

こっちに来てるとついつい携帯観ようって思わなくなるんだから不思議。

あっ、浅丘君からだ！

今日は恵海ちゃんのピアノの発表会だったんだ。

写真も付いてる。

恵海ちゃん、かわいいなぁ。

「愛さ、気をつけなよ。」

「え？なにが？」

「…はあ…鈍感。」

玲の言葉の意味を理解できない。