一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

そしておばあちゃんに着せてもらい、髪の毛までセットしてもらった。

少し大人っぽく見える気がするのは気のせいかな。

「あーいー！」

あっ、海司君だ！

「お待たせ！」

出してもらった下駄を履いて。

「うわ、愛、浴衣着たん？」

「う、うん…変？」

「いや、…ぼれ…かわいい。」

海司君の顔、少し赤い。

日焼けしたのかな。

日焼け止め、塗ったことないって言ってたもんね。

「じゃ、行くか！」

「うん！」

港の方に向かって歩いて行くと、だんだん人が多くなってくる。

結構人が来るんだなぁ…

「愛、迷子にならんでな。」

「う、うん！」

と言ったものの、はぐれそうなくらい人が多くなってきたよ。

「ほら、手。」

差し出された、手。

えっと、これは…

「繋がん？はぐれそうじゃし…」

いいの、かな？

頭に浮かんだのは浅丘君の顔。

海司君はあたしが迷子にならないようにって手を差し出してくれている。