一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
ドーン!

花火が上がった。

「わあ、綺麗!大きいね!」

「うん、そうじゃな!」

海司君、なんて言おうとしたんだろう…

よく聞こえなかった。

そのあと、家まで送ってもらい、玄関に入る前。

「愛、明後日帰るんよな。」

海司君が言った。

そっか、もう二週間経つのか。

なんだか早かった。

毎日畑仕事したり、虫と格闘したり。

あまり経験したことのない体験をたくさんした。

「明日の夜、蛍見に行かん?」

「蛍?」

そういえばこの辺で見れるんだっけ。

蛍なんて見たことない。

「うん!最後に蛍、見たい!」

「じゃあ、また明日迎えにくるわ!」

海司君はそう言って手を振ると走って行った。

「今帰ってきたの?」

「うわっ!びっくりした!」

いつのまにいたのよ!

「ケータイ、忘れて行ったでしょ。何回も電話、鳴ってた。」

うそ、あたしケータイ置いて行ってたの?
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