一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
電話を切った後もしばらくボーッとしてた。

浅丘君、何してるかな。

コンビニで何買ったんだろう。

どうして愛奈ちゃんが浅丘君の部屋にいたんだろう。

いや、それはあの二人が幼なじみだからで。

この一週間、何をしてたんだろう。

会いたい。

会いたいよ…

「愛、玄関。」

いつの間にか玲がいた。

あたし、寝ちゃってたんだ。

あんなに遅く起きたのに、また寝てしまった。

玄関に行くと海司君が立っていた。

「…海司君。」

「今日、蛍見に行こうって言うとったじゃろ。」

そっか。

約束してたんだっけ。

外はもう薄暗くなってきている。

「…でも、あたし…」

今はそんな気分じゃない。

それに今日はおばあちゃんの手伝い、何もしてない。

せめて晩ご飯くらいは手伝わなくちゃ。

「愛に話があるんじゃ。…ダメか?」

話、か。

最後の夜だ。

海司君にはたくさんお世話になった。
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