一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
サラッと言われすぎてよくわかんなくなってきた。

夢?

じゃないよね。

「俺は本気。愛が好きなんじゃ。」

うん、確かに嘘の目ではない。

どっかの誰かさんのように(Y君)ちゃらくない。

けどなんで?

どこにきっかけが?

「愛は彼氏とかおるん?」

頭に浮かんだのは浅丘君の顔。

私は黙ったまま頷く。

「…そうか、そうなんじゃ…ごめんな、困らせるようなこと最後に言ってしもうて。」

そのあと、海司君は何事もなかったように私に接した。

私の心の中はモヤモヤ、複雑なまま。

「愛、玲、ありがとうな。またきいよ!」

おばあちゃんに見送られて、そのまま新幹線に乗り込んだ。

「なんかあったの?昨日の夜。」

寝ていたと思った玲が窓の外を見ながら言った。

「ううん、何もないよ。」

なんだろう、この胸のざわつき。

なんだかよくないことが起こりそうな予感がする。

そして大抵、こういう時にはあたしの予想はあたるんだ。
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