一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

「一ノ瀬、一緒に帰れる？」

ボトルの片付けをしていると、浅丘君がこっそり言った。

一緒に！？

そんなの、もちろん！

「帰らせていただきます！」

そしてあたしは浅丘君と一緒に校門を出た。

夕暮れのきれいな空。

まだ少しだけ残っている桜の花びらに夕日があたって、キラキラしてる。

春のちょうどいい気温。

流れるチャイム。

そして、隣に歩いてる、好きな人。

こんなシチュエーションがまさかあたしに訪れるなんて、誰が予想したのだろう。

「一ノ瀬、あのさ…」

「は、はい！」

「…今日の朝の話、何だけど…告白されたって本当？」

朝…？

あっ！

あの葉ちゃんが言ってたやつね！

どうしよう。

でも告白されたのは去年だし、今ちゃんと告白されたわけでもない。

それに柚之木君はあたしの反応を面白がってるようにしか見えないもん。

「ううん！多分からかわれてるだけ！葉ちゃんてば大げさに言っちゃって。」