一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
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結局あれから浅丘君とは話せていない。

あたしは毎日文化祭の用意や実行委員の仕事で忙しい。

部活に行っても浅丘君はキャプテンとしてみんなのことをまとめるのにとても頑張っている。

邪魔なんてできやしない。

部活が終わったあともあたしは実行委員の仕事をしなくちゃいけなくて、一緒に帰れない。

「それってまずくない?」

バッサリ言い放ったのはノリノリで白雪姫の台本を読みこんでいる柚之木君。

実行委員の委員会の待ち時間、教室で二人。

「…そう、だよね。」

やっぱりまずいよね!

そうよね!

「だってもう話してないんでしょ?別れの危機?」

ちょっと!

演技でもない不吉な言葉、出さないで!

「あ、ごめん!そんなに落ち込まないで!根拠はないけど、ダーイジョブ!」

なにその変な自信。

なんだかおかしい。

「あっ、珍しい!愛ちゃんが俺に笑ってくれた!クソ!写メ撮ればよかった!」
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