一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
心臓がうるさい。

口から飛び出そうなくらい、ドキドキ、いやドンドン鳴ってる。

「…お兄さんたちには、秘密ね。」

浅丘君の顔は真っ赤だ。

きっと、あたしも。

家の前まで送ってくれて、その背中をあたしはずっと見えなくなっても、なにもない夜の道を見つめていた。

きっと一生忘れない。

初めての、大好きな人との。

幸せで、恥ずかしかしくて、熱くて、わけわかんなくなる。

「愛!なにやってるんだ!蚊に刺されるぞ!ほら、早く家に入りなさい!」

そんなうるさい誰かさんの声だって気にならないくらい。

すごい、すごすぎる!

もう!もう!

あーーーっ!

なんなの!この気持ち!

一ノ瀬愛、16歳。

夏の終わりの暑い夜。

初めての感覚に陥りました。
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