一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
でも今はこの明るさに救われた。

「ほら、帰ろ?もう下校時刻すぎてる。」

外はすっかり暗くなってる。

文化祭前の校舎は明日に向けて明るく華やかに飾られている。

それなのに、空気はしんとしていて、真っ暗で不思議な感じ。

「愛ちゃんさ、彼氏とうまくいってる?」

な、何!その質問!

いきなりすぎ!

「…あ、顔赤くなった!うまくいってるんだ!」

うまく、いってるんだよね?

この前、つ、ついに…

きゃー!!!

また思い出しちゃった!!

「も、もう!帰るよ!いいでしょ、そんなこと!」

赤い顔を隠すように早歩き。



「…うまくいってるんだ…」

あたしには聞こえなかった。

柚之木君がもう一度、小さく呟いたその言葉が。
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