一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
柚之木君とのこと。

後ろめたいことは何一つないけど、ちゃんと言葉にして言わなくちゃ伝わらない。

「あたし、あの…」

言う前にあたしの視界は真っ暗になっていた。

それは浅丘君があたしを抱きしめたからで。

「…俺、うまく伝えられてないかもしれない、からちゃんという。」

そして解放され、今度は手をつながれた。

「俺は愛が好きだよ。大好きだ。だから、他のやつに触られたくない。やきもちもめちゃくちゃ妬いてる。」

顔が真っ赤だ。

「愛は…?」

そんなの、そんなの!

「あたしも大好きだよ…!浅丘君を、独り占めしたいって思ってる…よ…」

そうだよ、好きだから、大好きだから独り占めしたいって思っちゃう。

「…柚之木に、キスされた?」

っ…見られてたんだ、やっぱり。

嘘はつきたくなくて、あたしは素直に頷く。

「…めちゃくちゃムカつく。俺の、彼女なのに…」

こんな風に独占欲をむき出しにしてくれることが、とてつもなく嬉しいって思うあたしは変なのかな。
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