一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
それはきっと、玲だって同じなはず。

「…愛は強いね。」

玲が呟くように言った。

あたしが強い?

「みんなが強くしてくれたんだよ。」

あたしは強くなんかなかった。

でも、みんなの、りっちゃんの、真兄の、優兄の、そして玲のおかげで強くなれたんだよ。

「それに、お父さんが選んだ人だもん。きっと良い人だよ!」

「…そう?」

「そうだよ!きっと優しくて、かわいくて、料理上手で…」

お母さんみたいな人だよ!

「…まあ、そろそろ愛の料理にも飽きてきた頃だし…」

おおい!

でもこんな憎まれ口を叩くくらいになってくれて良かった。

次の日の朝。

玲はまだ二段ベッドの下でスヤスヤと眠ってる。

昨日はなぜかあのまま動いてくれなくて、あたしが上で寝たんだ。

高いところで寝るのはなんだか落ち着かなくて。

少し早めに目が覚めて、教科書を確認しようと机を見ると。

机の上にプリンが置いてあった。

そのプリンには玲の字で、

「ありがと」

と書いてあった。

玲は不器用で、繊細で…

ちょっと優しいのかも!
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