一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
部屋から出た後も震えが止まらなかった。

怖かった…

「愛?帰ってるの?」

…玲だ。

普通にしなくちゃ。

「おかえり!」

「ただいま。なにしてんの、そんなことにつったって。」

「ううん、何でもない!」

何とか笑顔を作るあたし。

玲の目はまだ何か言いたそうだったけど、買い物に行くことを口実に何とかそこを抜け出した。


晩御飯の時、直君は降りてこなかった。

りっちゃんが呼びに行ったけど無視。

「やっぱり父さんにいったほうがいいんじゃ…」

優兄が言う。

「うーん…」

もし、お父さんと紀穂さんにこのことを報告したらどうなるんだろう。

お父さんは心配して、帰ってくると思う。

紀穂さんもきっと気をつかうだろう。

「待って!あたし、行ってみる!」

「大丈夫なのか!?」

本当はすこし、ううん、かなり怖い。

だけどこのままだときっと良くないと思う
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