一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
だから今はちょっとだけりっちゃんに感謝してるかな。

「そういえば…」

浅丘君が何か言いかけた時。

「そーたー!!」

そ、聡太!?

手を振りながら全速力で走ってくる、女の子。

「愛奈。」

ま、マナ!?

その子はあたしと同じ制服を着ている。

どういうことは、同じ学校!?

「愛奈ちゃん、そんな走んないでよ。」

後ろからやってきたのはミニチュア版浅丘君、じゃなくて…

「涼太君!」

「あれ、愛さん。こんにちは。」

学ラン姿の涼太君は浅丘君よりも幼いけどその態度はなんだか堂々としている。

「ていうか、邪魔しちゃってごめんね。ほら愛奈ちゃん帰るよ!希奈ちゃんにお使い頼まれてんだから。」

「ええー、聡太と帰りたいのに!」

なんだろう。

鈍感ってよく言われるあたしにもよくわかる。

このこ、きっと…

「愛奈ちゃん!兄ちゃんはデート中なの!ほら、行くよ!」

「聡太ーー!」
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