一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
「あんたが、おかえりって言ってくれたとき、なんか、泣きそうになった。たぶん、…嬉しかったんだと思う。」

おかえり、なんて普通の言葉なのに。

けど、直君にとっては特別だったんだね。

これからは毎日、言おうよ。

誰かがただいまって帰ってきたら、おかえりって言おう。

みんなでいただきますでご飯を食べて。

おはようで1日を始めよう。

「直君、家に帰ろう。みんな待ってるよ。」

直君の少しだけグリーンの入った瞳は涙と星でキラキラ輝いている。

「…うん。」




「ただいま!」

あたしと直君が玄関に入るとみんなが一斉に迎え出てくれる。

「帰ってきた!よかった…」

優兄はとびきりの笑顔で。

「どこ行ってたんだよ!心配したんだからな!」

真兄は怒り顔で。

「ちゃんと帰ってきなよ、これからは7時以降に帰ってくるなら締め出してご飯抜きにするからね。」

玲は呆れ顔で。



そして…

「おかえり、直、愛。」

「ただいま!りっちゃん。」

あたしは直君の腕を突いた。

「…ただいま。」
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