一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
ほのちゃんがそっと耳打ちする。

あたしが、浅丘君に…!

「うん!…渡してくる!」

今浅丘君は顧問の先生と話に職員室に行ってるから、帰り道に渡そう!


そしてそして、久々の二人きりの帰り道。

いつもは自転車だけど今は怪我をしてるから歩いてる。

隣を歩くその距離にはいつもドキドキする。

いつ渡そう…

「あ、浅丘君!あの、これ…」

あたしはお守りを差し出した。

それはたまたまあたしが作ったやつで、少し糸がほつれちゃってる。

「すげえ…嬉しい!ありがとな!いち…じゃなくて、」

浅丘君の笑顔、大好き。

「愛!」

名前を呼んで、ただそれだけなのに胸がギュッてなる。

「絶対怪我治して次の試合には出るから、…見ててな。」

あたしは大きく頷く。

そして近づく、浅丘君の顔…!!!

これはまさかの、まさかの人生二回目の…

あたしはそっと目を閉じた。
< 299 / 309 >

この作品をシェア

pagetop