一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
complex:4
「愛ちゃーん、おはよう!」

朝練のあと、古文の単語テストのために必死こいて単語を頭に叩きこんでいるあたしにのんきに話しかけてくる柚之木君。

どうやら彼は余裕らしい。

「お、は、よ!」

あー、もう!

しつこい!

「おはよーございます!」

それだけ単語帳から目を離さずに言う。

「チェッ、つれねえの。」

これに落ちたら放課後再テストだからやなの!

「そういえば明日は委員会だねー!一緒に行こうね!」

無視しても構わず話しかけてくる。

ほんと、この人なんなんだ!?

もう!

集中できないよ!




案の定、テストには不合格。

まあ勉強不足だったあたしも悪いんだけどね。

「一ノ瀬、部活いかないの?」

どうやら久住君は合格したみたい。

「ごめんね、あたし古文の再テスト、受けなきゃだから先行ってて!」

「ゆーだい!俺もだから、真先輩になんとかうまいこと言っといてよ!よろしく!」
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