一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
結局その日はたまごかけごはんとお味噌汁、おひたしだけ。

「たまにはこういうのもいいよね。」

優しい優兄はそう言ってくれたのがせめてもの救い。

りっちゃんは今日も遅いらしく、まだ帰ってこない。

なんだか最近、何もかもうまくいかない。

この前までがうまくいきすぎてたのかも。

「そんな辛気くさい顔でため息つかないでよ。見てるこっちまで憂鬱になる。」

玲のそんな声も聞こえない。

…メール、してみようかな。

いいかな?

いい、よね。

ブーッブーッ…!

うわあっ!

突然鳴り出した携帯、びっくりして落としそうになってしまった。

電話!?

も、もしかして…

期待を込めて画面を見る。



「もしもし。」

「あっ、もしもし愛ちゃん!今平気?」

ごめんね、葉ちゃん。

少しがっかりしちゃってごめん!

「うん、どうしたの?」

「今日小テストの追試やったじゃん?その時に俺間違えて愛ちゃんの文法書持って帰っちゃった!」
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