一ノ瀬さん家の家庭事情。®️

「ちょっとちょっと！なにしてんの！道の真ん中で！」

降ってきたその説教臭いセリフ。

…出たよ。

この最悪なタイミング。

絶妙なタイミングをわかってる。

て言うか、この展開何回目だ？

もうもはやコントのオチみたいになってるんだけど。

「離れなさい！浅丘君、君言ったよね？まさか忘れてないよね？お付き合い十か条！」

いつ取り出したのかその達筆で書かれた紙をバンと見せるりっちゃん。

「す、すみません…」

「困るよ、君。約束守れないんじゃ、愛の彼氏として認めるわけにはいかないよ。」

何その部下と上司みたいな…

「りっちゃん！もういいから！」

だいたい何よ、あたしは認めてないんだからね！

そのお付き合い十か条ってやつ！

「いえ、破ってすみませんでした！じゃあ、一ノ瀬、六時までに家に帰って！失礼します！」

そう言ってペコリとお辞儀をすると浅丘君は自転車に乗って行ってしまった。