一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
梨子ちゃんがため息をついた。

お風呂から上がると、もう九時半。

「遅くなっちゃったね。今日は部屋行くの、やめとく。また明日ねー!」

ほのちゃん、芽衣ちゃん、梨子ちゃんは部屋がある五階でエレベーターを降りた。

「あっ、あたし、忘れ物しちゃった!取ってくる!」

はるひちゃんが足を止めた。

「あたしもついていくよ!」

どうせ一人で部屋にいても寂しい。

「ありがとう!ごめんね。」

もう一度エレベーターに乗って一階のお風呂場へ。

はるひちゃんが忘れたのは携帯。

危なかった!

「付きあわせちゃってごめんね、行こう…」

そう言ってエレベーターの方に向かったとき。

「あ、あの!あたしね、ずっとずっと一ノ瀬君のことが好きなの!」

えっ!!!

はるひちゃんと顔を見合わせる。

声がする方を見ると、ロビーに向かい合っている男の子と女の子。

「返事はいつでもいいから!じゃあっ!」
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