一ノ瀬さん家の家庭事情。®️
頂上につくと、窓ガラスの向こう側に広がる、一面の札幌市内の夜景。

まるで宝石箱をひっくり返したみたいに、たくさんの輝く光が散りばめられている。

「すごい!」

「きれーい!」

周りからも感動の声が上がる。

「写真写真!」

梨子ちゃんがカメラを取り出す。

「お前そればっかだなー、他にすることないのかよ。」

「いいでしょ、別に!杉本にはわかんないよ、ロマンのかけらもないもんね!」

「は?お前にはわかんのかよ、ロマン!」

梨子ちゃんは告白…しないのかな。

「ねえねえ、杉本君!」

二人の喧嘩を割いたのは、ほのちゃんの仲裁じゃなくて、可愛らしい女の子の声。

「あれって男子バレー部のマネージャーじゃない!前から噂あったのよね、杉本君狙いだって。」

さすが情報通のほのちゃん。

何でも知ってるね。

「あっ、梨子ちゃん、そのカメラ夜景モードがすっごく綺麗に映るやつだよね!調度良かった、あたしと杉本のツーショット、撮って!」
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