恋の決め球はストレートに!
いつの間にか隣にいたこの男。

斎藤 芳尚(さいとう よしひさ)

私と同学年だが、野球部内では次期エースピッチャーと専らの噂だ。

150km後半の球を容易く放って、決め球のゆるいカーブもある。
いろいろな選手のピッチングを、常日頃からインプットしているという彼。

私も参考になればと、海の向こうのピッチャーの映像を見せたりもしている。

彼が喜んでくれると、私も嬉しかった。

私も一時だけ少年野球クラブにいたので、その時から、仲良くはしていた。

何度かお互いの家に遊びに行ったこともあるから、もはや幼なじみのようなものだ。

その頃から、私は彼をヨッシーと呼んでいる。

「ヨッシー、アンタまでサボり?
いいご身分ね」

「誰かさんが人の気も知らないで、
こんなところで寝てるからだよ。

ったく、無防備すぎだろ。

ちょっとはいい女だって自覚したらどう?
深明のファンクラブも出来てるくらいなんだから。

襲われたらどうする気だったわけ?

まだ、深明とはただの女友達だからさ。
何かあっても深明のこと、守ってやれないし。

深明、モテるからいい男なんてすぐ見つかるだろうしな。

いつまでもサボってないで、早く教室戻れよー?」

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