恋の決め球はストレートに!
そう言って手を振って去って行こうとする
ヨッシーの腕を、軽く掴んだ。

「ねぇ。

もう少し話し相手になってよ。
今教室戻っても、輪に入りづらくて。

放送部とか野球部の文化祭準備だけしてればいいのに。

何で今更平気な顔して手伝うんだ、
とか思われるのがオチよ。

何だか、そんな雰囲気の教室に居たくないのよ」

「ったく、仕方ねぇな。
ワガママに付き合ってやるか。

ってか深明、お前、手熱くね?」

「大丈夫よ、文化祭当日まで時間がないのよ?
私がいないと、放送部は人がいないし。

私がいないと……」

それに続く言葉を、上手く言えなかった。

「深明!
おい、深明!」

必死に私の名前を呼ぶヨッシーの声が、遠くなっていった。

ゆっくりと目を開ける。

天井からぶら下がる豪華なシャンデリアに、ライティングデスクしかない机。

私のベッドにはには右側の耳の付け根に大きなリボンがあるキャラクターが所狭しと飾られている。

こんなに何もないベッドは、私の家のものではない。
それに、オシャレなラベンダーのアロマキャンドルまで置いてある。

身体のだるさも、熱さも感じなくなっていた。

それにしても、ここはどこだろう?

服も、制服ではなく、少し厚手でミントグリーンのトレーナーとズボンを着せられていた。

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