【この本を読まないでください】
怪談話をしようと誰が言い出したのかは分からない。冬休み、部活の友人とお泊まり会をした時のことだ。集まれば自然の成り行きで、並べた布団の中で友人たちと顔を突合せ、夜更かしをしていた。部屋は薄暗く、ひそひそとした話し声だけが響く。
「幽霊の気配を感じる時は絶対に右から振り返っちゃいけない。目が合うんだって」
「視えなくても?」
「視えないまま合っちゃうんだよ。そしたら気に入られる」
「怖ぁ……寒気する」
「幽霊が出ると部屋の温度が下がるって言うしね」
「やめてよー」
布団に潜り込み、それぞれにくぐもった悲鳴を上げる。そのまま一人、二人といつの間にか眠りに落ち、朝を迎えた。
カーテンから漏れる朝日に釣られ、窓に近づくと結露が出ていた。子どものように絵を描こうとしたが、窓は曇ったままだった。
「幽霊の気配を感じる時は絶対に右から振り返っちゃいけない。目が合うんだって」
「視えなくても?」
「視えないまま合っちゃうんだよ。そしたら気に入られる」
「怖ぁ……寒気する」
「幽霊が出ると部屋の温度が下がるって言うしね」
「やめてよー」
布団に潜り込み、それぞれにくぐもった悲鳴を上げる。そのまま一人、二人といつの間にか眠りに落ち、朝を迎えた。
カーテンから漏れる朝日に釣られ、窓に近づくと結露が出ていた。子どものように絵を描こうとしたが、窓は曇ったままだった。