【この本を読まないでください】
 今日はねぇねの誕生日。ダイニングテーブルの上にホールケーキが乗ってる。ねぇねが好きないちごのやつ。

「母さん早く」

 身を乗り出したにぃにがお母さんを急かす。その背中をお父さんが軽く叩いて窘める。

「急かすなよ。お前のケーキじゃないだろ? 姉ちゃんの誕生日なんだから」
「だってパパ、このケーキすげぇ美味そうだよ」
「ねぇママ、どこで買ってきたの?」

 ねぇねはケーキに目を輝かせながらお母さんに尋ねる。するとお母さんは首を竦めて、

「作ったのよ。失礼しちゃう」

と応えた。美味しそうだね、と私も呟いてみる。

 真っ白なケーキは縦、横、と切り分けられた。蝋燭が年齢の数だけ立てられ、電気が消されるとハッピバースデーの歌が始まる。
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