また君に会うための春が来て





そこへ、



「バレー部はどうする気だ」



と声がした。



前田よしとだった。想外の出来事に、ぽかーんとする4人組。長身の男子生徒4人は全員男子バレー部の1年生だった。沸々と怒りを露わにする、よしと。すると、さやが、あやの腕をグイと掴んで「無視すればいいから」と言いながら、連れ去っていった。



よしとは、



「ほら、俺まで変な人だ」



と言った。小走りに、あやとさやを追いかけて、一言「ごめんね」と詫びた。



面識があったおかげか、さやは、笑って、立ち止まって、言う。



「大丈夫ですよ♡前田先輩より背高い4人組なのに、ありがとうございます♡」



あやは、そう言われたよしとを、ジッと見て、思い出した。長雨の日第7話のことを。



あやは、



「前田先輩。あの、ちょっといいですか?」



と言い、



「さや、ごめん、先に部室行ってて」



と言う。



夏の日差しが、昇降口を出た広場に照り付けて、汗がさやの頬をつたう。



「うん♡」



さやは、一人で文化部室棟に行く。薄い唇をキュッと結んで、早歩きをした。



あやは、少し間をおいてから、



「りお先輩と仲がいいんですか?やっぱり、本当は男の子が好きなんですか?」



と、単刀直入に聞いた。



張り詰めた太陽の光を背に、よしとは、じわっと汗が出てきた。



よしとは、顔色を変えずに、「信頼されてしまった」と思いながら、答えた。



「いや、神楽は女の子が好きだ」



厳かに言った。これは二人にとって重大な事実だから。ふざけ半分では言えない。そして、よしとは「なんで知っているのか?」までは、聞かれてはいけないと思った。



「俺は相応しい人に出会えたらいいなと思っている」と念を押したのだ。



あやは目を見開いて、よしとの目を見た。



張り詰めた太陽の光が痛い。



そして、頷いて、



「夏休み、どこかへ二人で行きたいです」



と言う。



よしとは「うん」と頷いて、「ある時、神楽を応援すると決めた」と言って、特にアドバイスなどせずに、去って行った。あやも、追いかけはしなかった。



ナンパをした1年生4人組は罰として、今日のメニューが校庭の走り込みだった。よしとが、先頭に立って、ヘトヘトになるまで走らせてやった。その後、暗くなった校庭で、よしとは4人に反省の弁を述べさせた。



肉体が自慢の岡部が、



「俺達、前田先輩への尊敬のほうを選びました」



と言う。



松岡は、



「期待されているのにすみませんでした。あと浦川辺さん、ゆずるっす」



と言う。



一部誤解があったが、よしとは、先輩らしく「今年のインターハイ予選はお前らレギュラー落ちしたけど1年生だから仕方がない。選手権予選もあるから腐らないで欲しい」と言ったのだった。ちなみに残る2人は、井沢と新垣という名前だ。
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