また君に会うための春が来て
2022年9月20日。昼休み。あやは「一緒にお弁当を食べませんか?」と、りおにメッセージを送り、さやと三人で、文芸部の部室で昼食を食べていた。「珍しいね、一緒に食べたいなんて」と、りおが言うと、あやは、満面の笑みを浮かべて嬉しそうに「これからは毎日一緒!」と言う。さやは、「なんでだろう?」と思いながらも「りお先輩とも一緒に食べられて嬉しいです♡」と言う。
りおは、あやとこれから毎日一緒に食べられることを喜んだ。分かり合いたい気持ちの表れなんだなと思った。
あやは、あれから考え抜いて、昼休みだけは思い切りベタベタすることにした。もちろん、りおと。さやは友達で、それ以上でも以下でもない存在。
放課後。りおがメッセージで「長空市花火大会に行こうよ!」と誘うと、あやは「文芸部終わったら二人で話しましょう」と返す。しかし結局、二人で花火大会の話題はせず、互いの家路につく。
帰宅後。りおが再びメッセージで「長空市花火大会に行こうよ?」と誘うと、あやはスルーして「いつもありがとう!」とだけ返した。あやは、「用事がある」と嘘をつくのは嫌だったし、「仲の良い同級生と行く」のように嘘ではない範囲の言葉を伝えるのは嘘をつくより嫌だった。
やがて、りおのほうで「行きたくないんだな」と解釈して、
「こちらこそ!行きたくなったらいつでも言ってね!クラスの人達と行くね!」
とメッセージを送ったのだった。