また君に会うための春が来て




2022年9月21日。休み時間に、りおは、みずきを長空市花火大会に誘った。



みずきは、無言で小指をピンと立てた。りおは、一瞬意味がわからなかったが、「彼氏?」と小声で聞いた。みずきは頷いた。彼氏で同じ陸上部投擲の園崎と行く予定だ。



「彼氏か」



りおは、「あやは1年生達で行くのだろう、察してあげられて良かった」と思った。思えば、よしとから言われたアドバイスを活かして、順調に進んでいる気もする。心の造詣の浅い深いで相手を選んでも仕方が無い。あやが触れていたいだけの気持ちだとしても構わないし、友情の延長のプレイのような同性愛でも受け入れたらいいだろうと、りおなりに思う。



りおは思い切って、よしとを誘ってみた。



「前田君。花火大会行く?」



よしとは、大きく頷いた。



「行く。田原と横山も誘おう!」



「みずきは行けないらしい」



「マジか!」



すると、みずきが歩いて寄って来て、りおに、



「彼氏、男子達で行くって。陸上部の貴重な男子会なんだって」



と言う。



「あ、そうなんだ?一緒に行く?前田君もいる」



みずきは、



「行く!えみかも行こう!」



と言う。



えみかは



「神楽さ~ん。4人なら行きま~す」



と言った。



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