また君に会うための春が来て
その後は、花火大会も後半戦に突入して、りお達の4人組は雑談に花を咲かせていた。
みずきが、
「本当に前田君誘って良かったよね。まずこのビニールシート。食事も買って来てくれるし。何より大学生の集団がいても全くビビる必要がない!」
と言うと、スクッと立ち上がって、
「トイレ行く人!」
と言った。
りおが、
「行く」
と言う。
「私は平気」
「俺は平気。神楽と横山、行ってらっしゃい」
そして、えみかとよしとの二人でビニールシートに座ったまま花火を見ていた。
ドンッ
ドドンッ
えみかは、
「前田く~ん。皆に食べさせてばかりいないで、自分も食べなよ~」
と言って、未開封の焼きそばのケースを自分の割りばしでトントンと突いた。よしとは「あると食べたくなるんだろうな」と思ったので、掃除機のように食べて見せた。ズアッと音がして、ほぼ一瞬で無くなった。
目が点になるえみか。口いっぱいの焼きそばに得意満面のよしと。
えみかは笑って「流石男子だね~」と言う。
ドンッ
ドドンッ
えみかが、
「前田君さぁ。神楽さん好きなの、知ってるよ?なんで?」
と言う。
よしとは、かなり悩んでから、
「応援している。明るい未来に行って欲しい」
と答えた。
えみかは、
「明るい未来~?」
「神楽さんが女の子が好きって言ってるのを知って、好きなんだ?」
「前田君。イイ男なのに勿体ない」
「私は、浦川辺さんと神楽さんを応援しない」
と饒舌だった。
よしとは、突然話し出したえみかに、
「いま戻ってきたらどうすんの?」
と苦笑いして、「やめてくれ」と言った。
えみかは、笑って、
「前田く~ん。自信を持ちなさい」
と言った。
よしとは、
「わかったってば」
と言った。
「試合は勝てたの~?」
「昨日トーナメントの1回戦、2回戦、3回戦まであって、無事勝ち抜いたよ」