また君に会うための春が来て




その後は、花火大会も後半戦に突入して、りお達の4人組は雑談に花を咲かせていた。



みずきが、



「本当に前田君誘って良かったよね。まずこのビニールシート。食事も買って来てくれるし。何より大学生の集団がいても全くビビる必要がない!」



と言うと、スクッと立ち上がって、



「トイレ行く人!」



と言った。



りおが、



「行く」



と言う。



「私は平気」



「俺は平気。神楽と横山、行ってらっしゃい」



そして、えみかとよしとの二人でビニールシートに座ったまま花火を見ていた。







ドンッ



ドドンッ







えみかは、



「前田く~ん。皆に食べさせてばかりいないで、自分も食べなよ~」



と言って、未開封の焼きそばのケースを自分の割りばしでトントンと突いた。よしとは「あると食べたくなるんだろうな」と思ったので、掃除機のように食べて見せた。ズアッと音がして、ほぼ一瞬で無くなった。



目が点になるえみか。口いっぱいの焼きそばに得意満面のよしと。



えみかは笑って「流石男子だね~」と言う。







ドンッ



ドドンッ







えみかが、



「前田君さぁ。神楽さん好きなの、知ってるよ?なんで?」



と言う。



よしとは、かなり悩んでから、



「応援している。明るい未来に行って欲しい」



と答えた。



えみかは、



「明るい未来~?」



「神楽さんが女の子が好きって言ってるのを知って、好きなんだ?」



「前田君。イイ男なのに勿体ない」



「私は、浦川辺さんと神楽さんを応援しない」



と饒舌だった。



よしとは、突然話し出したえみかに、



「いま戻ってきたらどうすんの?」



と苦笑いして、「やめてくれ」と言った。



えみかは、笑って、



「前田く~ん。自信を持ちなさい」



と言った。



よしとは、



「わかったってば」



と言った。



「試合は勝てたの~?」



「昨日トーナメントの1回戦、2回戦、3回戦まであって、無事勝ち抜いたよ」



< 46 / 51 >

この作品をシェア

pagetop