やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様

17 お茶会

私は以前に仕えていたメイヴィス様より招待状を貰って、クロムウェル邸でのお茶会に出席していた。ほとんとがデビューしているかしていないか、という私と同じような若い女の子達だ。

 皆が皆、流行りの柄のドレスに身を包み、お茶をしながら楽しそうに恋や流行りの話に花を咲かせている。

 メイヴィス様は今回主催なので、まだ私はあまり話す機会を持てていない。最初会場入りした時に、挨拶しただけだ。

 ……もしかしたらもう、メイヴィス様にはラウル殿下との恋の記憶がないかもしれない。

「……ニーナ様?」

 私ははっとして、隣の席に座っている子爵令嬢の顔を見た。いけない。こんなお茶会の席に居るというのに、私としたことがまた思いにふけってしまっていたみたいだ。

「ごめんなさい。少し考え事をしていたわ」

「ああ……構わないわ。私はこちらのお菓子が美味しいわよって、言っただけなの。考え事をして聞いていなかったのね。気にしないで」

 私たち二人は、甘くて美味しいお菓子を食べて微笑み合った。

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