やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様
「ごめんなさい。私の勝手で……皆には迷惑をかけてしまった」

「お前を犠牲にして、家を盛り立てたところで何になる……お前の幸せを祈るよ。マティアス君もまた、落ち着いたら連れてきなさい」

 私は立ち上がって、目の前に居たシメオン兄さんに抱き着いた。

「兄さん、ありがとう。大好きよ」

「僕もだ。お前が生まれた時から誰よりも幸せになるように、と願っていた。……自分の好きな道を行きなさい」

 シメオン兄さんは小さな頃からそうしてくれたように、泣いてしまった私の背中を優しく撫でてくれた。
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