やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様

26 揺らめき

「ニーナ、どうだった?」

 私の部屋で待っていたマティアスに、何も言わずに抱き着いた。彼もそっと抱きしめ返してくれた。

「……あいつは、なんて?」

「事態が落ち着いてから、改めて選んで欲しいって」

「そっか……それは、そうだろうな。僕も、あいつの立場だったらそう思うよ」

 マティアスの青い目を見上げた。一度は失った恋を諦めきれなかったのは、私もきっと一緒で。

「マティアスは、嫌ではない?」

「何が?」

「……私、ちゃんと言えなかった。断り切れなかった。貴方が裏切ったと思っていたから、ジャンポールに気持ちが揺れた。でも、私が好きなのはマティアスで……」

「ニーナ」

 マティアスは私の言葉を遮って、言い募ろうとしていた唇にキスを落とした。

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