やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様

27 魔力の素

 それから一人、自室に戻った私は、ふーっと大きく息をついた。

 今日は、流石に疲れてしまった。生まれてからこんなにも真剣な話をしたことは、なかったかもしれない。

 とりあえず……今、出来るだけのことをしたと思う。マティアスの兄弟たちを巻き込んだのは、マティアス本人が当事者だからどう転んでも巻き込んでしまう、と思ったからだ。

「味方を集めたか、考えたな」

 一人しか居ないはずの部屋で聞こえた声に、私は驚いた。

「……どうして、ここに?」

 誰も居ないはずの部屋、その真ん中に黒いローブを纏い深くフードを被った魔法使いを見て驚いた。

「面白そうな事態になっていたからな……あの男が悪魔と契約していたことで絶望するかと思っていたら、これは予想外に活路を切り開く勢いだな」

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