やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様
28 夜の果て
私は急ぎ、シメオン兄さんにグランデ家、ヴァレール兄さんに王宮とハサウェイ家へと走ってもらうことにした。
私自身はもちろん、メイヴィス様の居る屋敷、クロムウェル家だ。
お願い……間に合って。
馬車の中で、指を組んで祈った。もし……私の考えが間違っていたら。それなら、それで良い。どうか、間違っていて。
目的地は勝手知ったるクロムウェル家の本邸の中にある。とは言え、働いているわけでもない私は、メイド長のミランダさんを呼び出してもらう。
「ニーナ? まあ、素敵な令嬢になって、見違えたわ。こんな時間にどうしたの?」
「……メイヴィス様にお会いしたいんです。今担当の侍女は、一体誰ですか?」
詰め寄るように話す私にミランダさんは驚いた顔をして、記憶を探るように口に手を当てた。
「そうね。確か、セイラと……あなたの代わりに入った、エリスだったかしら」
「今すぐに、連れて行ってください! お願いします。お詫びなら後で、いくらでもします」
ミランダさんの手を逆に引っ張るようにして、私は二階にあるメイヴィス様の部屋に向かった。
ノックもせずに、大きな扉を開く。
「……メイヴィス様! セイラ……?」
寝る前なのだろう。セイラに髪を梳かして貰っていたメイヴィス様は突然現れた私に驚いて、目を見開く。
私はそこへ駆け寄って、何が起こっているのか理解出来ていないメイヴィス様を自分の背に隠した。
「……ニーナ? 何をしているの?」
「セイラ、どうして……どうしてあんなことを」
私自身はもちろん、メイヴィス様の居る屋敷、クロムウェル家だ。
お願い……間に合って。
馬車の中で、指を組んで祈った。もし……私の考えが間違っていたら。それなら、それで良い。どうか、間違っていて。
目的地は勝手知ったるクロムウェル家の本邸の中にある。とは言え、働いているわけでもない私は、メイド長のミランダさんを呼び出してもらう。
「ニーナ? まあ、素敵な令嬢になって、見違えたわ。こんな時間にどうしたの?」
「……メイヴィス様にお会いしたいんです。今担当の侍女は、一体誰ですか?」
詰め寄るように話す私にミランダさんは驚いた顔をして、記憶を探るように口に手を当てた。
「そうね。確か、セイラと……あなたの代わりに入った、エリスだったかしら」
「今すぐに、連れて行ってください! お願いします。お詫びなら後で、いくらでもします」
ミランダさんの手を逆に引っ張るようにして、私は二階にあるメイヴィス様の部屋に向かった。
ノックもせずに、大きな扉を開く。
「……メイヴィス様! セイラ……?」
寝る前なのだろう。セイラに髪を梳かして貰っていたメイヴィス様は突然現れた私に驚いて、目を見開く。
私はそこへ駆け寄って、何が起こっているのか理解出来ていないメイヴィス様を自分の背に隠した。
「……ニーナ? 何をしているの?」
「セイラ、どうして……どうしてあんなことを」