やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様
 鏡から目を離すと、セイラは不思議そうな顔をしていた。今日も凝った髪型が可愛い。

 セイラは手先が器用で髪結いもお手の物で、メイヴィスお嬢様からも重宝されている。

「え? 何が?」

 着替えの終わった私は、さらりとした黒髪をまとめはじめた。ひっかかりがなくてするんと逃げて、なかなかまとまらない。

 セイラのような纏まりやすい、癖のある髪に憧れる。

「有名なのよ。ラウル様と王太子フェルディナンド様のお母様、正妃のアメリア様との不仲は」
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