やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様
 不思議そうに私たちを見て、マティアスは首を傾げる。

「その……メイヴィス様に教えて差し上げたら、喜ぶんではないかと思って……お嬢様は婚約者であるラウル殿下を非常に好ましく思っていますから」

 少し……苦しい言い訳かしら? 私は何気なくティーカップを持った。

  騙されてくれた二人は、感心したように頷くと、目を合わせた。

「ラウル殿下は、ああ見えて……甘い物がお好きだな」

「そうだな。あとは、城で犬を飼っていらっしゃる、リシャールという、大きな白い犬だ」

 その他にもいくつかラウル殿下の情報を手に入れたけれど……理由を話せないから仕方ないけど、私の知りたいことには、役に立たなさそうだった。

 もうここは、聞きたいことをはっきりと聞くことにした。

「……あの、正妃さまとあまり仲は良くないんですよね?」

 二人はまた目を見合わせると、マティアスは大きくため息をついた。

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