やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様
 きらきらしい金髪と青くて宝石のような瞳、素晴らしく整った顔……彼は私の何が、良かったんだろうか? 

 近衛騎士の彼なら選り取りみどり、どんな令嬢だって、きっと苦労することなく、欲しいものを手に入れてきた人生だろうに。

 こうして時をやり直しをすることになって、冷静になって思う。彼は私の何が、良かったんだろう?

 父の爵位だって低くて、商売下手なものだから、家は跡継ぎである嫡男の兄以外は、皆外へ働きに出ている。

 私だって遠縁の紹介で、表向きはお行儀見習いで、クロムウェル公爵家に居るのだ。いずれ大きな商家か、爵位の近い家の嫡男に嫁ぐことになるのかもと思っていた。

 マティアスに、会うまでは。

「良かったらこの近くで、夕食を食べようか?」

「……いいえ、あまり遅くなれないの。仕事で明日も早いし」

「君はつれないね」

 マティアスは面白くないなといった拗ねた顔をした。彼がこういう顔をするのが珍しくて、思わず見入ってしまった。

「ニーナ、君は可愛い。他の人に取られないか、心配なんだ。早く僕のものにしたい」

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