やり直し失恋令嬢の色鮮やかな恋模様
 マティアスは幼く見える表情のような口調で、そのままに言った。初めて見る彼にくすくすと笑い出してしまった。

「……どうして笑うの?」

 整った顔をしかめて、彼は不思議そうに言った。

「ううん、なんだか、マティ……アス様が、子供っぽく見えて。それで、笑っちゃったんです。気を悪くされたら、ごめんなさい」

「それは許せないな……けど、夕食に付き合って貰えたら許せるかも」

 私はまた笑ってしまった。子どもっぽいマティアスなんて、付き合っていた頃にあまり見たことがない。

「仕方ないですね……夕食だけですよ?」

 私がそう言うと彼は、満面の笑みで言った。

「ありがとう。これで僕たちの関係は、少しは前進したかな」

◇◆◇

「おいしい」

 私は一口食べて、隣に居る人の顔を見た。

 その言葉を聞き、嬉しそうにマティアスは微笑む。

 ここは、海に近く新鮮な海鮮料理が、カウンター席に座った私たちの前に並んでいた。

 美味しい。公爵家の賄いと言えど、ここまで鮮度の高いものはあまり食べられない。

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